Kui Taishin-SSP工法 -パイルベント橋脚の耐震補強-
橋は、川・海などを挟んだ町と町をつなぐ重要な役割を果たし、私達の生活行動の中には無くてはならないものです。そのなかでもパイルベント橋は築造後何十年も経過したものが多く、また耐震性に問題のある構造です。
Kui Taishin-SSP工法(Super Strengthening Pile Bents Method)は、パイルベント橋脚を耐震補強する工法であり、安価で、景観を大きく変えず、流水阻害に対しても最小限、さらに施工中も供用することができます。
特許番号:特許第3249789号、特許第3930345号、NETIS登録番号:KT-000101-V
工法概要
Kui Taishin-SSP工法とは、補強鋼板を既設杭に巻き立て、専用の圧入装置により圧入し、水中不分離型無収縮モルタルにより既設杭と一体化することによって耐震性能の向上を図る工法です。
適用条件
- 1.杭 径:φ300mm~1500mm
- 2.杭 種:鋼管杭・PC杭・PHC杭・RC杭
- 3.土 質:礫質土(最大礫径が既設杭と補強鋼板の間より小さい)砂質土、シルト、粘性土、有機質土
- 4.梁下空間:2.5m程度(確保できない場合は、施工基面の掘り下げ、簡易仮締切設置)
特長
- 1.大規模な仮締切りが不要であり、経済性に優れる。
- 2.狭い梁下空間での施工性に優れる。
- 3.河積阻害率を大きく変えない。
- 4.既設橋を供用しながら耐震補強工事を実施できる。
- 5.フーチングを構築する必要がない。
- 6.低騒音・低振動で環境にやさしい。
- 7.景観を大きく変えない。
施工順序
研究結果
圧入装置の製作および作動・耐圧試験
圧入装置作動試験として、圧入装置の作動状況の確認、盛換え試験を行い、耐圧試験として、既設杭と圧入装置にひずみ計を取り付け、加圧時に働く応力の測定、変形、亀裂の有無を確認。
ウォータージェット施工確認実験
N値20~50程度の硬質シルトにおいても圧入可能であることの確認、および先端ノズル形状の検討のために、模擬地盤を作成し、施工確認実験を実施。
その結果、硬質シルトにおいても適用性が確認され、最適先端ノズル形状を決定。
施工性実証実験(実物大)
調査結果より400~700mmの鋼管杭が多いことから、φ500の鋼管杭を既設杭とし、φ650の補強鋼板を巻き立てて実施。 施工性実証実験の結果、圧入装置は最大荷重981kN近くまでかけ、設計どおりの性能を有していることを確認。
また、実験終了後、補強杭を引抜き、切断して断面を確認したところ(右下写真参照)、圧入精度は誤差が1mm程度と良好な精度を確認。さらに充填モルタルにおいても密実に打設され、十分な品質・施工性を確認。
曲げ載荷試験
供試体は既設杭と補強鋼板の隙間に充填モルタルを打設した複合構造物と既設杭のみの2ケースの曲げ載荷試験を実施。
右グラフのような試験結果が得られ、既設杭に比べ補強杭は3倍以上の耐力の向上を確認。